家を賃貸に出した場合の税金っていくら?税金の種類等を解説

不動産

持ち家を賃貸に出すと、家賃を受けて税金が発生します。

具体的な税率や控除の詳細は地域や個人の所得によって異なるため、確定申告を行う必要があります。

このような税金の面を考慮して、賃貸経営を行う際には計画を立てておくことが重要です。

賃貸に出したら税金が必要

不動産賃貸業とは、不動産の所有者が物件を他人に貸し出して家賃収入を得る事業です。

具体的には、個人が自分の所有する家を賃貸に出すことで、新たな事業を始めることができます。

もし事業によって収益が生まれた場合、その額に応じて所得税や復興特別所得税、住民税などの税金を支払わなければなりません。

また、不動産賃貸業では特定の条件を満たすと、事業税も発生することがあります。

事業税は、事業所や事務所の設立が必要なほど大規模な事業を行う際に課される税金です。

例えば、個人の不動産賃貸業の場合、マンションやアパートで10室以上、戸建てで10棟以上を管理する場合に事業税が発生します。

したがって、個人が自分の持ち家を賃貸に出す場合、多くの場合は事業税が課される可能性があります。

税金には、個人や法人に課されるものの2種類があります。

具体的には、国税と地方税があります。

国税は、個人が国に対して支払うべき税金であり、所得税や法人税などが該当します。

一方、地方税は地方自治体に対して支払うべき税金であり、所得に基づいて住民税を支払う必要があります。

所得税や住民税を理解する上で重要なのは「所得」です。

所得税や住民税は、基本的に所得に対して課税されます。

所得は日常会話での「収入」とほぼ同じ意味で使われることもありますが、税金を計算する際には「利益」として扱われます。

所得にはさまざまな種類があり、個人の場合は次の10種類に分類されます。

1. 給与所得 2. 不動産所得 3. 農業所得 4. 林業所得 5. 事業所得 6. 利子所得 7. 配当所得 8. 退職所得 9. 一時所得 10. 雑所得 持ち家を賃貸に出す規模の不動産賃貸業を行う場合、不動産所得と譲渡所得について理解しておくことが重要です。

自分の持ち家を賃貸に出し家賃を得る場合は、それが「不動産所得」となります。

もしも、自分が所有している家を売却して一時的に大金を手に入れる場合、その売却益は「譲渡所得」ということになります。

譲渡所得の計算方法は非常にシンプルで、以下の計算式で簡単に計算できます:収入-経費=所得 もしも不動産の売却益の話であれば、受け取った家賃が先ほどの計算式の「収入」の部分に該当します。

そして、経費とは、自分の家を維持するためにかかっているあらゆる費用のことを指します。

例えば、修繕費や保険料、固定資産税、都市計画税などがこの経費に該当します。

そして、計算式の結果がプラスになる場合、そのプラス分が「所得」となり、課税の対象となります。

逆に言えば、経費が大きくなって所得がマイナスになると、それは赤字となり、所得税や住民税の対象とはなりません。

発生する税金の種類

持ち家を賃貸に出すと、収入に対していくつかの税金が発生します。

具体的には、所得税、復興特別所得税、住民税の3種類です。

まず、所得税について説明します。

所得税は、収入の額に応じて税率が変わります。

収入が195万円以下の場合は5%の税率で、所得税はかかりません。

195万円から330万円までの収入には10%の税率が適用され、9万7,500円の控除がされます。

収入が330万円から695万円までの場合は20%の税率で、42万7,500円の控除があります。

695万円から900万円までの収入には23%の税率が適用され、63万6,000円の控除があります。

さらに、900万円から1,800万円までの収入には33%の税率が適用され、153万6,000円の控除があります。

1,800万円から4,000万円までの収入には40%の税率が適用され、279万6,000円の控除があります。

収入が4,000万円以上の場合は45%の税率が適用され、479万6,000円の控除があります。

次に、住民税について説明します。

住民税は所得税とは異なり、収入の額に関係なく常に10%の税率が適用されます。

具体的には、都道府県民税が4%であり、市区町村住民税が6%です。

この2つを合わせた金額が住民税として納税する必要があります。

最後に、復興特別所得税について説明します。

この税金は、2011年の東日本大震災の復興を支援するために創設されました。

所得税が発生した場合、同時に復興特別所得税も納税しなければなりません。

復興特別所得税の税率は2.1%ですが、復興特別所得税の課税対象は所得そのものではありません。

所得税の金額に対して2.1%を計算し、それが復興特別所得税となります。

つまり、持ち家を賃貸に出すと所得税、復興特別所得税、住民税の3種類の税金が発生し、それぞれの税率や控除額には一定のルールがあります。

これらの税金は適切に計算され、納税する必要があります。

税金の考え方

持ち家を賃貸に出すことによる所得税、復興特別所得税、住民税について、これらの税金は不動産賃貸業を開始したことで新たに納税義務が生じるわけではありません。

実際には、ビジネスパーソンなどの個人納税義務者は既に所得税、復興特別所得税、住民税を支払っています。

ですから、新たに納税義務が発生するのではなく、これまでの税金額が不動産賃貸業を始めたことで増加するイメージの方が適切です。

たとえば、持ち家を他の人に貸し出しても、物件の所有者は変わらず自分自身です。

そのため、固定資産税や都市計画税は引き続き支払う必要があります。

固定資産税は、日本の全ての土地や建物に課される税金であり、都市計画区域内の市街化区域にある土地や建物には都市計画税が課せられます。

どちらも市町村税の一部であり、東京都23区の場合は都税と呼ばれます。

税額の計算法

では、具体的な計算例を通じて持ち家を賃貸に出した場合の税金の計算方法について詳しく説明しましょう。

まず、持ち家を賃貸に出すことによって発生する税金は所得税です。

所得税の計算方法には総合課税方式と分離課税方式の2種類がありますが、一般的には総合課税方式が用いられますので、こちらに注目しましょう。

総合課税方式では、すべての所得を合算し、それに対して累進課税率を適用して税金を計算します。

具体的には、給与所得と不動産所得などのすべての所得を合計し、その金額に対して税率をかけることで課税金額を算出します。

例えば、実際に収入のあるビジネスパーソンが、自身の持ち家を賃貸に出し、その不動産所得が100万円であるとします。

この場合、給与所得と不動産所得を合計した金額に累進課税率を適用することで所得税額を計算します。

具体的な計算式は、所得の合計(給与所得+不動産所得)×税率=課税金額です。

例えば、合計所得が1000万円で税率が30%の場合、課税金額は300万円になります。

このように、持ち家を賃貸に出して得られる不動産所得は、収入の一部として他の所得と合算され、総合課税方式によって税金が計算されます。

不動産所得だけでなく、他の所得も考慮されるため、収入の合計額によって税率が変動することになります。

したがって、持ち家を賃貸に出す際には、不動産の収入だけでなく、他の所得も考慮して総合的な所得税の計算を行う必要があります。

税率は収入の合計額に応じて変動するため、具体的な金額を計算する際には、詳細な税制や税率の情報を確認することが重要です。

所得税を計算するうえで気をつけたいこと

所得税を計算する際に留意すべき重要な要素は、税率になります。

所得税は、収入が増えるとともに税率も増加する仕組みです。

特に税率が上昇する境目に近づく際には、細心の注意を払う必要があります。

例えば、収入が890万円の場合と910万円の場合では、税率がそれぞれ23%と33%になりますので、差額は実に10%もあります。

税金を不用意に高くしてしまわないためには、節税の考え方も念頭に置かなければなりません。

賃貸に出して節税になる場合

所得がある場合、その額に応じて税金を支払わなければなりません。

逆に、所得がなく、マイナスの赤字であれば、他の所得と合算して節税効果を期待することができるかもしれません。

例えば、不動産の賃貸業で赤字になった場合、そのマイナス分を他の所得と合算することができます。

もしビジネスパーソンであれば、給与所得と合算されます。

給与所得から不動産所得のマイナス分を差し引くことにより、全体の所得を減らすことができます。

これが損益通算と呼ばれるものです。

損益通算は不動産所得の他に、事業所得、山林所得、譲渡所得の4種類の所得に限定されています。

また、不動産所得に関しては、確定申告の際に青色申告を選択していた場合、特別控除も適用されます。

さらに重要なポイントとなるのが減価償却費です。

減価償却費とは、建物の購入に支払った金額のうち、一部を分割して経費として計上することを指します。

例えば、マンションや戸建てを購入する際には、頭金や不動産会社への仲介手数料などが発生します。

これらの費用をその年にまとめて計上してしまうと、巨額の赤字になってしまいます。

そこで、分割して翌年から少しずつ経費として計上することで、所得を減らすことができます。

ただし、減価償却費は計算上のものであり、実際に当該年に支払った費用ではありません。

しかし、不動産所得の計算において経費として認められているため、所得を減らす手段として活用することができます。

減価償却費は、一般的に資産の価値は年を経るごとに減少するものと考えられています。

これは建物だけでなく、自動車なども同様です。

初めは購入した価格に相当する価値があるとしても、数十年経てばその資産の価値は低下してしまいます。

したがって、ある資産の価値が経年劣化によって減少する場合、減価償却を行うことが一般的です。

減価償却では、資産の購入価格を耐用年数という期間に分割し、毎年その分だけ減らしていくことで、経済的な価値の減少を考慮します。

ただし、価値が変わらないものには減価償却は適用されません。

典型的な例としては土地があります。

土地は建物などと違って時間の経過とともに価値が減少することはないため、減価償却の対象になりません。

まとめ

収入がある場合、必ず税金がかかるかどうかを確認しましょう。

例えば、ビジネスパーソンや企業で働いている場合、給与からはさまざまな経費が天引きされ、手取り収入が得られます。

この場合、給与はそのまま給与所得となります。

しかし、不動産収入の場合は異なります。

得られた家賃収入からは、さまざまな費用を自分で計上し、経費として差し引いて、納税額を算出しなければなりません。

税金を逃れる行為は罰則を受けるため、正しい方法で納税する必要があります。

一方で、税金を節税するための方法もチェックすることが非常に重要です。

例えば、自宅を副業で賃貸に出して不動産賃貸業を行う場合、本業の所得と合算して損益通算ができる場合があります。

また、減価償却費についてもよく確認しましょう。

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