リバースモーゲージとは、自宅を担保にして老後の資金を借りることができる制度です。
この制度では、自宅に住み続けながら、その住宅価値を現金化することができます。
リバースモーゲージとは？
退職を機に、将来の生活について考える際、長い老後の暮らしに必要な資金について心配な方もいらっしゃると思います。
中には、年金だけでは足りないと思っている方や、退職後に資金を調達するのが難しいのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。
また、リバースモーゲージという資金調達方法についてよく理解していない方もいるかもしれません。
そこで今回は、自宅を担保にしながら老後の資金を借りることができるリバースモーゲージについて詳しくご紹介いたします。
リバースモーゲージは、特にシニアの方々に向けた貸付制度です。
この制度では、持ち家であるマンションや戸建を担保にして資金を借り入れることができます。
そして、借り入れた金額は借入人が亡くなった時に、担保となった不動産を売却して一括返済することで完済します。
「リバース」とは「逆」という意味で、通常の住宅ローンと異なり、こちらは最後に一括返済するためにこの言葉が使われています。
一般的には、借り入れた金額を分割して月々受け取る方法がよく使われます。
ただし、契約によっては一括で融資を受け取ることも可能です。
また、返済方法には2つのタイプがあります。
一つは、月々利息のみを返済していく方法です。
借入人が亡くなった後、相続人が家を売却し、売却代金から元金を一括返済することになります。
もう一つは、借入人の死後に元金と利息を合わせて一括返済する方法です。
この場合も、相続人が家を売却して返済額を一括で返済することになります。
なお、返済方法は利用する取扱機関によって異なることがありますので、注意が必要です。
リバースモーゲージのメリット
最近、高齢者の方々の間でリバースモーゲージが注目を集めている理由について、リバースモーゲージのメリットを考えてみましょう。
毎月の費用負担が少ない
一括返済や毎月の利息支払いの方法を選んだとしても、通常の住宅ローンで元金と利息を一緒に支払う場合よりも、毎月の支払い負担は少なくなります。
これを利用すると、老後の生活費を削減することができます。
資金を得ながら同じ家に住み続けられる
リバースモーゲージは、自宅の価値を利用して資金を調達する仕組みです。
この方法では、自宅を売却せずに資金を手に入れることができます。
そして、自宅を売却することなく引っ越さずにずっと住み続けることができます。
つまり、住み替え先を見つける手間や引っ越しの負担を省くことができます。
配偶者への引継ぎが可能
もしも契約者が亡くなってしまっても、心配ありません。
多くの取扱機関では、配偶者がローンを引き継ぐことができます。
そのおかげで、配偶者は同じ家に住み続けることができます。
さらに、配偶者がその家で住み続ける際には、ローンの一括返済を心配する必要もありません。
なぜなら、ローンの一括返済は、引き継いだ配偶者が亡くなった時に行うことになるからです。
配偶者も安心して生活を続けることができます。
所有資金を使用する必要がなくなる
自宅を担保に借り入れをすることで、以前から持っていた退職金や貯金といった資金を減らさずに済む利点があります。
これにより、旅行や休暇のための資金を楽しむこともできますし、将来の病気や介護のための資金も確保できるため、心配することなく安心して暮らすことができます。
住宅ローンから借り換え可能
住宅ローンを借り換えしてリバースモーゲージに変更することは可能です。
この変更によって、毎月の返済額の負担が軽減されます。
例えば、退職後にもまだ住宅ローンが残っている場合、返済が困難になる可能性があります。
しかし、リバースモーゲージに切り替えることで、毎月の返済負担を減らし、生活費に余裕をもたらすことが期待できます。
つまり、住宅の価値に応じて定期的な支払いを受けることができ、その資金を生活費や医療費などに充てることができるのです。
リバースモーゲージのデメリット
リバースモーゲージの利用には、デメリットも存在します。
以下ではそれについて詳しく説明します。
長生きした場合返済にリスクが生じることもある
リバースモーゲージとは、不動産を担保にして融資を受ける制度です。
この融資の限度額は、担保となる不動産の価値によって決まります。
つまり、不動産の価値が高ければ融資の限度額も高くなります。
しかし、リバースモーゲージは借入期間が長期化するというリスクもあります。
なぜなら、長生きすることで借入期間が延び、その間に融資の限度額まで資金を借り入れてしまう可能性があるからです。
もし限度額に達してしまうと、その後は追加の融資を受けることができなくなることに注意が必要です。
さらに、金融機関によっては契約期間が定められていることもあります。
つまり、一定の期間が経過したら、元本と利息を一括返済しなければならないという条件が設けられている場合があるのです。
ですので、契約期間が設けられている場合には、満了になった際に一括返済しなければならないことにも注意が必要です。
利用エリアに制限がある
リバースモーゲージの利用には、制限されたエリアが存在することに留意が必要ですので、十分にご注意ください。
制限エリアは、契約する金融機関によって異なります。
多くの金融機関は、特に首都圏と近畿地方の一部の住宅を対象としています。
従って、自分の住居が対象エリアに含まれるのか事前に確認することが重要です。
なお、リバースモーゲージは一般的に金融機関と社会福祉協議会の両方によって提供されていますが、社会福祉協議会が提供するリバースモーゲージにはエリアの制限はありません。
子どもが同居していると利用できないことが多い
リバースモーゲージを取り扱う多くの機関は、夫婦や単身の高齢者を対象としています。
このリバースモーゲージの契約をする際には、相続に関する問題を避けるために、予定される相続人全員の承諾が必要となります。
融資額が見直される場合もある
契約が完了した後でも、もし土地や建物の価値が下がってしまった場合、融資を受けた金額が再評価されて、融資の最大額が変更されることがあります。
金利が変動の可能性がある
リバースモーゲージでは通常、可変金利が使用されます。
これは、金利が市況によって変動するため、金利が大幅に上昇すると、毎月の返済額も増加する可能性があります。
団体信用生命保険に加入できない
一般的な住宅ローンでは、契約者は団体信用生命保険への加入が可能です。
この保険は、契約者が死亡した場合や重度の障害になった場合に、ローンの残債がまとめて返済される仕組みを持っています。
しかし、リバースモーゲージの場合は、このような保険には加入できません。
リバースモーゲージでは、契約者の死後に返済が行われるため、保証されているのは契約者の死亡に関する返済のみです。
重度の障害に関しては、保証されていないため、注意が必要です。
リバースモーゲージの利用が向いている人とは？
リバースモーゲージは、高齢者の方々が資金を調達するための手段の1つです。
主に住宅に大きな資産があるが、現金不足や定年後の生活費の心配がある方々に適しています。
具体的には、以下のような特徴を持つ方がリバースモーゲージの利用を検討することができます。
老後の資金に不安がある人
もしも、いくつかの財産をお持ちであるけれども、将来の老後の生活について不安を抱いているし、資金を増やす方法を模索している方にとって、このプログラムは非常に適しています。
このプログラムでは、あなたが既にお持ちの財産を活用し、将来の生活に必要な資金を増やすチャンスがあります。
老後の資金はあるが、資金を残しておきたい人
老後における資金に心配はないけれども、もしも病気や介護が必要になった際に備えて、現在保有している資産を残しておきたいという方におすすめです。
相続人がいない人
自宅を相続財産として残す必要のない方には、特に適しています。
例えば、自宅を売却して賃貸住宅に引っ越す手続きはかなり煩雑ですが、この制度を利用すると手間を省くことができます。
老人ホームで暮らす資金を必要としている人
老人ホームに入所する予定があり、自宅を手放したくない方や、時折自宅に戻りたい方にはリバースモーゲージが適しています。
リバースモーゲージでは、一括で大きな資金を手に入れることができるため、その資金を老人ホームの入居費用として有効活用することができます。
例えば、月々の入居費用を支払うために必要なお金をリバースモーゲージで受け取り、自宅を売却することなくそのまま所有し続けることができます。
また、自宅に帰りたい時には、資金を使って一時的に自宅に戻ることも可能です。
このように、リバースモーゲージを活用することで、老人ホームでの生活を円滑にし、自宅との絆を保ちながら快適に生活することができます。
まとめ
リバースモーゲージは、自宅の価値を利用して一括でお金を得ることができる方法です。
多くのシニア世代の方々から注目を集めているのは、このためです。
50～60代以上の方で、家を売却して新しい住まいを購入したり、リフォーム費用や老後の資金として利用したいと考えている方は、リバースモーゲージのメリットや注意点をよく理解して、検討するようにしましょう。
具体的な詳細を知りたい場合は、金融機関や不動産会社などに相談することをおすすめします。
また、シニア向けの資金調達方法として、リバースモーゲージだけでなく「リースバック」も注目されています。
リースバックとは、自宅を売却した後、買主から家を賃借して、同じ家に長く住み続ける方法です。
リースバックのメリットは、他の人に自分の家が売却されたことを知られる心配がなく、住み慣れた家で暮らし続けながら、まとまった資金を手に入れることができる点です。
リバースモーゲージとリースバックにはそれぞれメリットや注意点があります。
自分自身に合った資金調達方法を選び、豊かな老後を過ごすためによく理解しましょう。
