物件を選ぶ時には、その物件の詳細を確認することが大切ですね。
順調に進めばいいですが、全てが上手くいくとは限りません。
時には物件に問題が見つかることもあります。
計画道路の問題もその一例です。
ただし、すぐにそれを「問題」と決めつけるのは急ぎすぎるかもしれません。
見た目には不利に見えることでも、実は有益な点がある場合もあります。
そこで、この記事では、計画道路と土地との関係について、利点と欠点をもう一度考えてみたいと思います。
計画道路とは
「都市計画」という言葉を聞くと、行政機関が関与しているので、不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、実際には怖がる必要は全くありません。
都市計画は、都市や地域の未来を良くするために行われる取り組みであり、住民の意見や利益も考慮されています。
つまり、都市計画は、皆の暮らしや環境をより良くするための取り組みなのです。
都市計画法と都市計画道路について
「住みやすい環境を整えることは、良い街づくりにおいて非常に重要です。
街の美しさを維持し、住民が快適に生活できるような環境を整えることが大切なのです。
このような取り組みは、住民たちがより良い生活環境を維持するために欠かせません。
そのため、街づくりには法律が存在します。
その中でも代表的なものが「都市計画法」です。
都市計画法は、道路の整備などについても規定しています。
なぜならば、街の機能を向上させるためには、交通の円滑化が必要だからです。
交通が円滑でない場合、消防車などの緊急車両の通行が阻害され、被害が広がる可能性があるからです。
また、都市計画法における都市計画道路は、今後整備される予定の道路を指します。
ただし、すぐに整備されるとは限らず、将来的に整備される可能性もあるため、物件を購入後すぐに道路が整備されるとは限りません。」
「計画決定」と「事業化決定」がある
都市計画道路は、道路がすぐに整備されるわけではないことがあります。
これは、「計画決定」と「事業化決定」という2つの段階があるためです。
計画決定は、道路の計画が立てられた段階であり、事業化決定は、具体的な整備が決定された段階を指します。
そのため、不動産広告などで都市計画道路の記載があっても、それが計画決定段階である可能性があります。
つまり、道路が整備されるのは将来の話であり、すぐに工事が始まるとは限らないのです。
ちなみに、計画は決定されているものの、数十年も事業化が進んでおらず、今後の具体的な整備計画も未定の物件が、いくつも存在しています。
購入のメリット
計画道路に隣接する土地の購入には、将来的に居住用地として利用できなくなるリスクがあるため、購入に踏み切ることに疑問を感じるかもしれません。
しかしながら、それでもその土地を取得することには利点が存在します。
安く土地が購入できる可能性がある
地震や洪水などの自然災害に対する耐性を高めるために、日本では計画道路の整備が進められています。
この計画道路に隣接する土地は、将来的に道路拡幅などの道路整備のために使われる可能性があるため、土地の利用価値が低下しやすい傾向にあります。
そのため、このような土地の取得コストは比較的低く抑えられる傾向にあります。
このような状況は、新たに家を建てる人にとっては好都合なことです。
特に都市部では、土地の価格が全体の費用の大部分を占めることがあります。
したがって、取得コストが削減されることで、建物の購入費用を抑えることができる可能性が高くなります。
建物の購入費用を抑えることで、その分を建物自体の品質向上や設備の充実に充てることができます。
建物をより快適で機能的なものにすることができるため、家族の生活の質を向上させることができるでしょう。
税制優遇がある
都市計画道路が整備される可能性のある土地は、将来道路になる見込みがあるため、その土地の価値が低く設定されています。
このため、固定資産税の額も比較的安くなります。
固定資産税は不動産の価値に応じて課税されるため、不動産の価値が高ければ税金も高くなり、逆に価値が低ければ税金も低くなります。
そのため、価値が低く設定された土地は税金対策上、大きな利点が生まれることになります。
固定資産税だけでなく、評価額と関連する税金には相続税も含まれます。
相続税は現金や株式などと同様に、土地などの資産にも課税されます。
そして、相続税も資産の価値に応じて決定されるため、資産の価値が抑えられると課税額も低くなるのです。
購入のデメリット
都市計画道路が設けられる土地には、確かに経済的なメリットが存在します。
しかし、その一方で考えられるデメリットもあります。
事業開始のリスクがある
都市計画道路には、まだ計画が決定されていないものも多く存在します。
具体的な事業計画が未確定の場合もあり、その事業がいつ実行されるのか不透明な場合もあります。
このような物件については、数年または数十年後に事業が実施されるかどうか不確実なケースもあります。
そのため、経済的な魅力を感じて購入する人も多いでしょう。
しかし、事業が実施されるかどうかというリスクは残ります。
もし事業が進行する場合、住民を立ち退かせる必要が生じることもあります。
この場合、土地を買い取ってもらう形となり、費用的には問題ないかもしれませんが、長期的な居住を考えている場合は、大きなリスクとなるでしょう。
建てられる建物に制限がかかる
都市計画道路は、一般的には計画段階で多くの道路が予定されており、その道路が整備されることを前提としているため、建築物にはさまざまな制限が課せられています。
建築物における制限事項としては、基本的に2階建てで地下室を持たないものとすることが一般的です。
また、建物の構造についても、将来道路拡張や再配置が行われる可能性があるため、建物の移転が比較的容易なものとされています。
ただし、東京都の都市計画道路では、建物が3階建てまで可能とする緩和措置が設けられています。
まとめ
計画道路が物件に影響を与える場合、その影響の程度によって取得金額が抑えられる可能性があります。
もしも立ち退きの説明があった場合でも、比較的高額な補償を受けることができるかもしれません。
しかし、物件に長期間住み続けるつもりであれば、いつでも移転を迫られるリスクを背負うことになりますので、それが魅力を損なう可能性もあります。
ただし、計画が進むためには予算が必要です。
計画道路に関与していても、十分な予算が確保されなければ、計画が実現する可能性は低くなります。
そのため、単なる形だけの計画として終わる可能性も考えられます。
ですから、基本的には物件を売却することをお勧めしますが、売却しても物件を手放すことに苦労しない程度であれば、その判断は個人の裁量にお任せするのがよいでしょう。